ごきげんよう、格ゲーブロガーの拓です。
今回は格闘ゲーム、というよりストリートファイターにおける「弾撃ち」と、
その「弾撃ち」なる概念の象徴と言っても過言ではない、波動拳について語っていきたいと思います。
いわゆる道着キャラ、スト6においては特にリュウや豪鬼を使う上では避けては通れないのが
波動拳(豪波動拳)の使い方です。
- リュウと言えば、波動拳!
- 道着キャラは波動拳が主力技!
- 道着キャラを使うなら、弾撃ちを覚えよう!
みたいなのを聞いて、その通りに波動拳を使おうとした人は
まず間違いなくこう思ったはずです。
あの、全く勝てないのですが…
と。
そう、波動拳は闇雲に撃っていても効果を発揮しないんです。
どんなに優秀な技でも、使い方を誤ると
ただただ相手に付け入るスキを与えてしまうだけ、
というのは別に波動拳に限った話ではないのですが
いかんせん、波動拳はその使い方が直感的には分かりづらくなっています。
正しい知識を抑えておかなければ、
上手く活用する事は困難でしょう
という訳で、この記事では
- 波動拳とはどういう技か
- 弾撃ちとは一体何なのか
- 何のために弾撃ちをするのか
といったテーマで解説していきますので、
是非最後まで読んでいってください。
波動拳の性能と特徴
大前提
- 射程無限=画面に残る限り持続も無限
- 密着距離から撃った場合、基本的にガードさせて不利
- 相手に着弾するまでに時間を要すると、そのぶん硬直差がよくなる
- 弾部分にはやられ判定がない(伸ばした手にやられ判定がついてることはある)
着弾が遅くなるほど、硬直差が増える
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-22-215706-1024x576.png)
まず波動拳は、ほとんどの作品で射程が無限です(スト5豪鬼のような例外はあり)。
相手に当たるか、画面外に消えるまでは常に攻撃判定が出ています。
また、波動拳をヒット/ガードした距離に関わらず、撃った側は常に同じタイミングで動き出せるようになります。
弾を撃たれた側、ガードヒットさせられた側は弾が着弾してからガードヒット硬直が明けてから動けるようになります。
これにより、弾をどれくらい離れた距離でヒット/ガードさせたかによって硬直差が変化します。
具体的には、離れた距離から撃たれた波動拳をガードした場合ほど、波動拳を撃った側の硬直差が有利に傾きます。
遠くから撃ってガードさせた場合ほど、撃った側が先に動き出せるようになる訳です。
強度によって弾速が異なる
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-22-215639-1024x576.png)
弱版は弾速が遅く、強版は早い。中版はその中間くらいとなっています。
これにより、弾速の遅い弱版を撃った場合は
基本的に相手に着弾するのが遅くなり、硬直差が有利に傾きやすいです。
が、そのぶん相手に見切られやすく、ジャストパリィされたり、飛び道具無敵技で抜けられたりしやすいです。
強版はガードされた時の硬直差が不利になりやすいですが、
そのぶん相手に見切られにくく命中しやすいです。特に近めの距離から撃つと効果的です。
前ジャンプを合わせられると危険
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-22-215543-1024x576.png)
波動拳に対しての明確な回答として、前ジャンプがあります。
波動拳は真横にしか飛ばないため、ジャンプで飛び越えられてしまいます。
そして、その前ジャンプを丁度いいタイミングで合わせられてしまうと
波動拳を撃った後の隙にジャンプ攻撃が確定で当たってしまいます。
ジャンプ攻撃は基本的にコンボの起点となるため、
波動拳に前ジャンプを合わされると大ダメージ必至です。
ただし、波動拳に対して前ジャンプを合わせるタイミングが遅いと、昇龍拳での対空が間に合ってしまいます。
具体的には、波動拳のモーション自体を見てから前ジャンプしてもまず確定しません。
このため、ジャンプする側は先読みで前ジャンプを合わせることを余儀なくされます。
波動拳が画面に出ている間は次の波動拳を撃てない
作中ではほとんど説明されませんが、シリーズの伝統としてこういう仕様があります。
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-22-215452-1024x576.png)
このため、ジャンプなどで避けられた場合は
波動拳が画面に出ている(次の波動拳を撃てない)時間が長引きます。
これにより、遠い距離から撃ち続けることはできなくなっています。
次の波動拳を撃てるようになるのは、あくまで相手に当たるか画面から消えてからです。
弾をめぐる駆け引きの基本
ここまで、波動拳の基本的な仕様について解説してきました。
では、より具体的な波動拳を使ったテクニックと駆け引きについて解説していきます。
安全波動
弾撃ちについて語る上で、まずこれだけは覚えてほしい概念があります。
それは「安全波動」と呼ばれる波動拳の撃ち方です。
安全波動とはその名の通り、安全な状況から撃つ波動拳のこと。
厳密に言うと、「相手にリスクづけされる心配がない状況で撃つ波動拳」のことです。
分かりやすい例で言うと、端:端での波動拳ですね。
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-23-205553-1024x576.png)
この距離で撃つ波動拳にリスクを負わせる事は通常は不可能です
前ジャンプされてもジャンプ攻撃は届きません。
なんならドライブインパクトも届かないし、ジャストパリィしたところで何もありません。
これも安全波動の一つです
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-23-205655-1024x576.png)
まあ例外的にリスクをつけてくるキャラがいたりしますが、ここでは割愛します
そして、もう一つのケースにして重要なのが
硬直差有利(先に動き出せる)状況から撃たれる波動拳です
つまり、弾を撃つ側が先に動ける状況で、相手が動けない内に波動拳を撃ってしまうということ。
分かりやすい例を挙げると、相手がダウンした所に波動拳を撃ち込む形です。
この場合、相手の行動が可能になった瞬間には既に波動拳が撃たれています。
なので、撃たれた側が最速で前ジャンプしたとしてもジャンプ攻撃を間に合わせる事は不可能です。
また、ある程度距離を取った状態から弱波動拳をガードさせた直後に撃たれた波動拳も、安全波動になっていることが多いです。
危険波動
そして、これらの条件を満たさない、すなわち
相手に読み切られたり、反応されたりすると反撃を受けてしまう可能性がある打ち方の波動拳は「危険波動」と呼ばれます。
特に、前ジャンプを合わされてしまう可能性がある波動拳をこう呼ぶことが多いです。
その他、人によりますが見てから弾抜けされる可能性がある波動拳も危険波動とすることもあります。
撃つ側は「安全波動」を撃ちたい、撃たれる側は危険波動を撃たせたい
これらのことにより、
- 弾を撃つ側→「弾のメリットだけを享受したいので、安全波動を沢山撃ちたい」
- 弾を撃たれる側→「弾のデメリットを露呈させるため、危険波動を沢山撃たせたい」
という互いの思惑が生まれます。
そして、
- 弾を撃つ側は安全波動を撃つための間合いや状況作りを目指す
- 撃たれる側は危険波動を撃たせるための間合いや状況作りを目指す
という目論見の元、「立ち回り」の応酬が始まります。
これが、弾をめぐる駆け引きの基本です。
強度の使い分け
弱版は見切られやすいけど、ガードさせると硬直差有利を取れる(次の波動が安全波動になりやすい)という強みがあります。
強版はガード硬直差有利は取りにくいけど、そもそも見切られにくいという強みがあります。
どちらも一長一短なので、両方を使い分けていくのが理想になります。
ざっくりと解説すると、
- 弱はガードさせること前提に撃つ
- 強はヒットさせること前提に撃つ
という使い分けを意識できたら、大体オッケーでしょう。
中波動拳っていつ使うの?
結論から先に書いてしまうと、中波動は強波動を当てるための布石に使います。
弱と中を使い、相手が見慣れてきたところで強を撃ちます。
とはいえ、初めの段階は無理して使う技ではないかもしれませんね。
確認撃ち
確認撃ちとは波動拳のコマンド236だけを入力し、
相手の動きを直前まで確認してからボタンを押す事で波動拳を出すというテクニックです。
例えば、相手がジャンプしてきたことを確認できたにも関わらず、
そのまま波動拳コマンドを最後まで入力してしまってフルコンされた…
みたいな経験はないでしょうか?
こういったケースはこの確認撃ちを習得することでかなり減らせるかと思います
ちょっと余談:確認撃ちの深い話
確認撃ちが上手い人は、236を回してから撃つ直前に
「相手がジャンプしてないかどうか」
だけを見ている訳ではなく、
具体的に、相手がどんな行動を取っていたか?
によっても撃つか撃たないかを決めているそうです。
例えば、撃つ直前に相手が前歩きをしていたらそのまま前ジャンプが来る可能性が高いので撃つのを止める、
逆に後ろ歩きをしているのが見えたら撃つ、みたいな感じです。
もちろん、対戦相手もこれを分かっている場合は敢えて後ろ歩きをチラ見せしてから前ジャンプしたりするんだとか。深い…
そもそも波動拳を撃つ意味とは
ここまで、波動拳という技の使い方を解説してきましたが
ここでもっと本質的な話に踏み込んでいきたいと思います。
そもそも、波動拳を撃つ意味って何だと思いますか?
- 遠くにいる相手に攻撃するため?
- 相手にダメージを与えるため?
- 勝つため?
そう思っているなら、それは違います。
何故なら、波動拳をどれだけ効果的に使おうとも
それが直接的な勝因に繋がっていくことはまずないからです。
波動拳はリスク/リターンが割に合ってない技
まず、波動拳はリスク/リターンの効率が非常に悪いです。
スト6基準で解説していくと、
- 波動拳が当たったとしても、ダメージは700程度
- 相手が波動拳を読んで前ジャンプしてきたのに対し、昇龍拳で迎撃してもダメージは1300程度
というリターンが得られる戦略です。
これに対して、
波動拳に対して前ジャンプを正確に合わされたら、
3000近いダメージを受けてしまいます(ゲージを使えばもっと伸びます)。
これはすなわち、波動拳を2回命中+昇龍拳で一度迎撃したダメージの合計よりも、
前ジャンプ一回通した側のダメージの方が大きいという事になります。
どう考えても割に合っていません。
飛びを一回でも通されると、もう撃つのが嫌になっても仕方ないでしょう。
遠距離にいる相手には別に当たらない
遠距離に居る相手への攻撃手段として用いるにしても、ほぼ確実に当たりません。
何故なら、波動拳は撃った瞬間に相手に届く訳ではないからです。
波動拳を撃ったのを確認してから余裕で避けたりガードできたりしてしまいます。
まあ、相手がぎりぎりまで引き付けてガードとかの意識が高いプレイにトライした結果ミスして食らう、とかはあるかもしれませんが
端:端くらいの距離から波動拳をばら撒いたところで、大した見返りは得られません。
なので、遠距離からの攻撃手段として用いるのも少し違うという事になります。
波動拳は形成を動かすために使う技
では何のために波動拳を撃つのか
それは、膠着状態を解き、形成を動かすためです。
これだけだと分かりにくいので、もう少し具体的に解説します。
牽制技の振り合い(差し合い)で優位に立つため
差し合いと呼ばれる駆け引きでは、基本的にリーチの長い技を持つキャラクターが有利になります。
特に近年の作品では道着キャラは通常技のリーチを短めに設計されることが多いため、
通常技の差し合いでは不利になりやすいです。
ですが、ここで活躍するのが波動拳です。
波動拳は飛び道具故、実質的にリーチ無限です。後ろ歩きで空振りさせられることは絶対にありません。
撃ち出された波動拳にはリュウ本体のやられ判定はないので、置き技で一方的に潰される心配も少ないです(相打ちを取られる事はあるけど)。
リュウや豪鬼相手に、
「通常技での差し合いに持ち込めば一方的に有利に戦える!」
という相手でも
波動拳の前では差し合いどころではなくなり、
本来であればやりたいはずの差し合いを諦めて波動拳の対策を強いられる事となります。
波動拳の事を「リーチが凄く長くて、やられ判定もほとんど伸びない通常技」と考えると、
単純な差し合いの選択肢として物凄く強い事が分かってもらえるかと思います。
でも、これだけのために波動拳を撃つのは先にも言ったように効率が悪いです。
何発波動拳を撃ちこんでも、一回飛ばれたら全部パァになっちゃうじゃんって話です。
では、ここからが本題。
「撃たない」ことが弾撃ちの真髄
この見出しを読んだ人は恐らく
「一行で矛盾してて草」とか思ってることでしょうが、
これはマジです。
そう。波動拳とは、弾撃ちとは、
「撃たない」事が本質。
もっと言うと、
「波動拳を撃ってくる」と相手に思わせて、撃たずに立ち回ること。
弾を警戒させることで、弾以外のやり取りを有利に進めること。
これこそが、弾撃ちの本質です。
相手に動く(攻める)ことを強要する
牽制技の振り合いで不利になった側は、それを続けていてもジリジリと負けていくことになるので
大抵どこかでリスキーな攻め方を強いられる形となります。
このリスキーな攻め方というのは、それこそ前ジャンプとかですね。
牽制技の振り合いでは、リュウや豪鬼がじわじわ追い詰められてしまう相手は少なくありません。
こういった相手は、波動拳なしだとリュウ・豪鬼側がどうしてもリスキーな攻め方をするしかなくなってしまいます。
ですが、ここで波動拳を見せていくことで、
逆に相手がリスキーな攻め方をしなければならない立場に逆転させることができます。
ということは、最初からリスク上等ってスタイルの人に対して波動拳を撃つ意味はあまりないと言えるでしょう
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-22-221232-1024x576.png)
波動拳は対空を出せて初めて撃つ意味が生まれる
そもそも波動拳は空中にいる相手には当たりません。
なので、波動拳を機能させるには相手に地上に張り付いてもらう必要があるのですが、
そのために欠かせないのが「対空」。
そう、昇龍拳です。
なので、そもそも対空が出せない人は苦労して波動拳の撃ち方を覚えても無用の長物になってしまいます。
波動を撃つ前に、対空昇龍の出し方から習得していくことをオススメします。
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-22-221316-1024x576.png)
まとめ
- 「安全波動」と「危険波動」を巡る駆け引きが弾撃ちの基本
- 弾を撃つこと自体が目的ではなく、弾を撃つことで形成を動かすのが目的
- そもそも対空が出せない人は、弾撃ちの前に対空を練習しよう
おわりに
いかがだったでしょうか。
弾撃ちは本当に奥が深いので、正直これでもまだまだ語り切れてない部分は沢山あります。
何なら、筆者も知らない深みが隠されている事でしょうから
これからまだまだ学んでいきたいですね。
最後に、これを読んでくれた人の中には
恐らくスト6から格ゲーを始めてリュウや豪鬼を選んだって人もいることでしょう。
そういった方は恐らく、
- 「難しすぎない…?」
- 「このゲーム、こんな難しいことしなきゃいけないの…?」
- 「道着キャラって初心者向けなのでは…?」
と思ったのではないでしょうか。
はい、そうです。
弾撃ちって本当に難しいんです。
そして、こんなのは本来初心者にやらせるようなことではないと僕も思います。
というか、そもそもの話で
道着キャラは初心者向けのキャラクターではないというのが筆者の考えです。
なんとなく世間では
「道着キャラ(特にリュウ)は初心者向けキャラクター」
というパブリックイメージが根付いていると思いますが、
- 基本性能からして(高度なテクニックである)弾撃ちを理解してることが前提
- 押し付けられるような強みが少ないので、色んな選択肢を使い分けて対戦相手に対応していく事が前提
なんてキャラクターが初心者向けってのは、冷静に考えておかしいと思っています。
能動的に駆け引きを展開することができ、状況や相手に応じて様々な技を使い分ける事ができる、
中級者以上のプレイヤー向けのキャラクターではないでしょうか。
![](https://takukakugamer.com/wp-content/uploads/2024/06/スクリーンショット-2024-06-22-221407-1024x576.png)
もしこの記事を読んでいる貴方が
- 「リュウを使いたい!」
- 「豪鬼カッコいい!」
と思ってリュウや豪鬼を使っているなら、
それはとても良いことです。
実際リュウも豪鬼もすごくカッコいいキャラなので、使いたい気持ちはよく分かります。
でももし、貴方が
- 「初心者にはリュウがオススメ!」
- 「勝ちたいなら豪鬼でしょ!」
と、誰かに言われたからリュウや豪鬼を選んでいるに過ぎないのであれば
一旦立ち止まって、本当にこのままリュウや豪鬼を使い続ける方がいいのか
考えた方がいいかもしれませんね。
という訳で、今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!