「チートって、そんなに悪いことなの?」
「迷惑をかけるのはなんとなく分かるけど、そこまで騒がれる理由が分からない」

格闘ゲームを始めたばかりの人の中には、このような疑問を持ったことがある人もいるのではないでしょうか。

X、YoutubeなどのSNSの投稿をきっかけにチーターが大炎上したり、
ゲーム会社から永久BAN(アカウント停止)されたりするケースが後を絶ちません。

では、何故チートはそこまで嫌われるのでしょうか?

  • 「ルール違反だから」
  • 「ゲームの改造は違法行為だから」

それもまた事実ですが、
チーターが嫌われる理由はそれだけには留まりません。

チートは格闘ゲームそのものの価値や、プレイヤー同士の信頼関係を壊してしまう行為だからです。

そんな訳で、この記事では

  • チートとは何か
  • 格闘ゲームにはどんなチートがあるのか
  • 何故チートは”悪”なのか

を、ストリートファイター6(スト6)を例にしながら初心者にも分かりやすく解説します。

それでは、どうぞ!

そもそも”チート”とは?

チート(Cheat)とは、本来ゲームには存在しない機能を外部ツールなどで追加し、自分にとって有利に試合ができるようにする不正行為のことです。

併せて、チートを使用しているユーザーの事をチーターと呼称します。

例えばスト6では、

  • 見切りづらい中段攻撃に必ず反応する
  • 投げ抜けを100%成功させる
  • 人間の反射では見てからでは反応できない技に、必ずジャストパリィを決める
  • ヒット確認が異常なレベルで正確
  • 相手の入力そのものに反応する(インパクトボタンを押した事に反応してインパクトが入力される、等)

などが、チートを用いることで実現されます。

格ゲーブロガー拓

重要なのは、「強い=チート」ではないということです。

例えばプロゲーマーは、驚異的な反応速度・正確な操作・理屈では説明できない勝負勘といった、途轍もない「強さ」を見せます。
しかしそれらは、何千時間もかけて積み上げた練習量や攻略に裏打ちされた実力です。

一方でチートはプレイヤー自身の技術ではなく、プログラムが代わりにプレイしています

  • 人間が、努力と工夫で培われた実力で勝つ
  • プログラムに勝たせてもらう

この二つは全く別物なのです。

チートの種類

チートと一口に言っても、様々な手口があります。

ここで例を幾つか紹介しておきます。

ゲームシステムの改造・外部ツールの導入によるチート

ハッキングや外部ツールを用いる事で
ゲーム内のプログラムそのものを書き換えたり、通常では不可能な操作を可能にする方法です。

スト6における、改造・外部ツールを用いたチートの一例
  • ① 自動ガード・自動パリィ
    • 攻撃を受ける瞬間をプログラムが検知し、自動でガードしたり、ジャストパリィを成功させたりするチートです。
    • 格闘ゲームにおける攻防の駆け引きを根底から破壊し、まともな対戦が成立しなくなる極めて悪質なチートです。
  • ② 自動投げ抜け
    • 投げられる瞬間をプログラムが検知し、自動で投げ抜けを入力します。
    • 近接戦の駆け引きの軸となる投げを一方的に無効化できてしまうため、これも極めて悪質なチートです。
  • ③ 自動インパクト返し
    • ドライブインパクトが繰り出された事をプログラムが検知し、自動でドライブインパクト返しを行います。
    • ただ反応が良い・インパクト返しへの意識が高いだけの人との区別が難しく、存在するだけで界隈の混乱を招くという点で非常に始末が悪いチートです。
  • ④ 自動差し返し
    • 相手キャラクターが技を空振りする瞬間をプログラムが検知し、自動で差し返しを行います。
    • 人力では非常に難易度が高い「差し返し」を異常な精度で再現してしまいます。しかしこれも差し返しが上手いだけの人と区別する事が難しく、存在するだけで界隈の混乱を招きます。

デバイスチート(マクロ、連射コン、上優先等)

スト6では、主に「CPTルール」で使用を認められていない機能を使用すること、
或いはそれを搭載したコントローラー自体がデバイスチートと称されます。

スト6で見られた、デバイスチートの一例
  • マクロ
    • 本来複数の操作が必要な入力をボタン一つで実行する機能です。
    • 例えば、「(理論値レベルで正確な)必殺技コマンドの入力」「難しいコンボ」「ジャスト入力」などをワンボタンで実行できます。
  • 連射コン
    • ボタンを押しっぱなしにするだけで、人力では絶対に不可能な速度(1F単位)で同じボタンの「押し/離し」を切り替え続ける入力ができる機能です。
  • SOCDクリーナー機能
    • 反対方向への同時入力を処理し、最後の入力を優先することで操作を簡略化する機能のこと。
    • ストリートファイターでは、かつてレバーレスコントローラーを使用して「↓」ボタンを押下したままの状態で「↑」を押すと、ゲーム内部の操作が「↓」から「↑」に即座に切り替わるような入力の仕様(俗に言う”上優先”)が話題になりました。
    • 他のデバイスと比較した際にレバーレスコントローラー及びキーボードが操作面で有利になりすぎてしまう可能性を危惧され、「↓」と「↑」または「←」と「→」を同時入力した際には「ニュートラル(何も押してない)」状態になる仕様が必須となっています。

格ゲーブロガー拓

それぞれ大会ルールやゲームタイトルによって扱いが異なる場合もありますが、
基本的に「外部ツールや機能を用いて入力する(人力で操作しない)」行為はスト6に限らず大多数の格闘ゲームで不正行為だと見なされます。

情報表示系

通常プレイでは画面には表示されない情報を見るチートです。

例えば、

  • 相手の入力
  • 内部データ
  • 当たり判定

などを表示できます。

格ゲーでは通常では画面には表示されない・見た目では分かりにくい駆け引き(ファジー行動等)が存在し、
それらをどう探るかも含めた攻略と読み合いがあります。

それを画面に正確なデータとして表示させ、確実に理解できるようにすることで、
本来存在するはずの攻略の応酬が成立しなくなるケースがあるのです。

格ゲーブロガー拓

SNS等でやられ判定や攻撃判定を可視化した画像が流れてますが、
あれも全てチートを使用して生成しています。

便利なのは否定しませんが、
少なくとも僕はなるべく触れない事を心掛けてます…。

ラグスイッチ

厳密にはチートとは異なりますが、併せて紹介。

ラグスイッチとは、オンライン対戦における通信状態を意図的に不安定にできる機能の事で
対戦相手の操作・立ち回り等を妨害する事が狙いです。

オンライン対戦ではこちらも重大な不正行為として扱われます。

何故チートは”悪”なのか?

端的に説明すると、格ゲーにおけるチートとは
スポーツにおけるドーピングのようなものと言って差し支えありません。

「違法だから」
「チートをアリにしてしまうと、皆がチートを使わないといけなくなるから」
「ゲーム会社がそういうルールを設けているから」

もちろんそれらも正しい理由ですが、
本質はもっと深いところにあります。

チートが悪なのは、ゲームの根本的な価値を壊してしまうからです。

格ゲーの醍醐味を味わえなくなる

  1. 練習する
  2. 上達する
  3. 強い相手に挑戦したり、ランクマッチをプレイしたり、大会に出場したりする
  4. 勝つ→嬉しい! or 負ける→悔しい!
  5. 更なる上達を目指し、練習したくなる
  6. ①に戻る

このサイクルこそが格闘ゲームを遊ぶ上での最大の魅力であり、
対戦にハマる人を生み出し続ける理由です。

長く苦しい下積みに耐えながらも、目標としていたランクに初めて昇格できた時や、
何度も負け続けた相手に初めて勝てた時というのは、大きな喜びがあります。

しかしチートを使えば、その過程をすべて飛ばしてしまいます。

勝てたとしても、それは自分が上達した証ではなく、プログラムが勝たせてくれただけです。

つまり、自分自身が得られるはずだった上達の実感や勝利の達成感を、
自分の手で捨ててしまうことになるのです。

相手の努力を踏みにじり、誰からも尊敬されなくなる

「いや、上達の実感とかどうでもいい。結果が全てでしょ」

そう思ったでしょうか。

ですが、現実は勝てればいいというものではなく、
「対戦相手への敬意を払う(リスペクトした)上で勝つ」事が求められるという、暗黙の了解があるのです。

何故なら、格闘ゲームの対戦は一人では成立しないからです。

失礼な人、イヤな奴とは一緒に遊びたくない」と思うのは、人間として当然の感情です。

例えゲームであろうとも、真剣勝負であろうとも、
自分と一緒に遊んでくれる相手に敬意を払う事が最低限のマナーとなります。

ここで話を戻しますが、
チートを使用するという行為そのものが、対戦相手へのリスペクトを最初から放棄するも同然という事実を理解しなくてはなりません。

格闘ゲーム界隈では、
多くのプレイヤーが何百時間、時には何千時間も練習を重ねています。

コンボを覚え、対策を調べ、負け試合を見返しながら自分の課題を設定し、少しずつ上達していく。
そういった努力の積み重ねをしながら、対戦という舞台で互いの上達の成果をぶつけ合う事に対戦の醍醐味があります。

そんな界隈でチートを使うということは、相手が積み上げてきた時間や努力を無視し、
「公平な勝負」という約束を一方的に反故にする、格ゲープレイヤーに対する最大級の侮辱行為になるのです。

格ゲーブロガー拓

だからこそ多くの格ゲーマーは「チートを使っている奴はゴミ」「チーターと対戦しても時間の無駄」といった感じで、チーターに強い嫌悪感を示すのです。

チートを使っていると、まともな人にほど対戦してもらえない事になるのは必然です。

コミュニティ全体が衰退する=ゲーム会社が実害を受ける!!!

チートが忌避される決定的な理由が、まだあります。

それはチーターが増えるだけでゲームが盛り下がり、ゲーム会社が実害を被るという点です。

  • 「最近マッチングする敵、チーターばっか……」
  • 「今までにない強い奴が現れたらしいけど、どうせチーターだろ」

そんな疑念が広がれば、真面目に取り組んでいるプレイヤーほどゲームに対するモチベーションを削がれ、
ゲームを辞めてしまう原因になります。

するとゲームをプレイするアクティブユーザーの数が減り、コミュニティが縮小する事に繋がります。
最終的には、ゲーム自体の寿命まで短くなってしまうのです。

ゲームの寿命が短くなることで一番困るのは、言うまでもなくゲーム会社です。

ゲームで長く遊んでくれる人や関心を持ってくれる人が減れば減るほど、
せっかく作ったゲームを通して得られる利益がどんどん減ってしまいます。

莫大なお金を使ってゲームを作ったにも関わらず、そのゲームで利益が得られなければ、
最悪の場合会社が潰れてしまいます。

だから、ゲーム会社はチーターに対しては永久BAN等の厳しい処罰をする訳ですね。

格ゲーブロガー拓

ゲーム会社の目的は、あくまでゲームを通して利益を得る事。

直接的に実害・不利益を被るような行為を行う一部のユーザーを規制するのは、
一企業として当然の権利なのです。

それでもチートを使ってみたい人へ

ここまで説明した事を聞いた上で、

「そんな事言われてもよく分からないし、結局負けるよりはマシでしょ?」
「対戦相手に敬意を払うべきなんて、綺麗事だ」

そう思ったでしょうか。

確かに、徹底的に「勝つ事」のみに執着するのであれば、
チートは最適な手段と言えるかもしれません。

ではここで、やや哲学的な話をさせて頂きます。

そもそも「ゲームで勝つ」事の意義とはいかほどのものでしょうか?

上位ランカーになりさえすれば、他のゲーマーに尊敬されますか?

プロゲーマーやそれに匹敵する猛者より上のランクになりさえすれば、凄いと思われますか?

思われません。

むしろ、チートに頼っている時点で他のゲーマーから軽蔑される事は避けられませんね。

では、勝てば勝つほどお金がもらえるのでしょうか?

とにかく勝ちさえすれば、生活が楽になるのでしょうか?

なりません。

ただゲームで勝つだけでは、1円も稼げません。

ではーーーーーーーーーーーー

勝つ事さえできたら、これ以上ないほど幸せになれますか?

勝率100%の世界1位ランカーになることさえできれば、幸せですか?

例え他人に迷惑をかけ、軽蔑される形であろうとも、
誰かに自分の存在を認知さえしてもらえれば幸せですか?

多くの人は、そうは思わないはず。

そう、ゲームで勝つ事自体には最初から何の価値もないのであり、

ゲームを通して、幸福を掴む事にこそ価値があるのです。

ゲームを通して「幸福」を掴む事こそが真の勝利

なんだか胡散臭い見出しに見えるかもしれません。
しかし、これは絶対的な真理です。

だって、わざわざ不幸になりたくてゲームで遊ぼうという人はいないですよね。

誤解を恐れず言いますが、ゲームで勝利する事自体には価値はありません。

ですが、ゲームを通して勝利を得るために、
努力し、ライバルと鎬を削り、仲間と交流しあう体験には大きな価値が宿ります。

  • ゲームを通して自分を成長させていく事で得られる達成感
  • 同じくゲームが好きな人たちから認められ、尊敬されるようになる事で得られる自己肯定感
  • 本気でゲームをやり込んだ上で、同じようにゲームをやり込んだ人と本気で勝負する、非日常な体験

このような、格闘ゲームを通して得られる経験や人的資産を積み上げ、
幸福感を得る事こそが、本当の意味での「勝ち」なのです。

そのためなら、例え「表面上の負け」が続いても大した問題ではありません。

むしろ表面上の負けを恐れず果敢にチャレンジする貴方の姿を見て、
勇気づけられる人、応援したくなる人、自分も負けていられないと意欲を燃やす人が、必ずいます。

それもまた「自分の存在が誰かの役に立っている」という充実感を得る事に繋がり、
「事実上の勝ち」になるのです。

チートを使った時点で、事実上の「負け」となる運命

逆に言えば、チートを用いたが故に

  • 努力と工夫で実力を磨く過程を得られない
    • 「他の人は正々堂々と戦っている中、自分はチートに頼って戦っている人間である」と、己自身の手で証明し続ける
  • オフィシャルな大会やイベントには一切出られない
    • 交流の輪が広がる事もない
  • まともな人とは対戦してもらえないし、関わって貰えない
    • 同類のチーターや、ごく一部の狂った思想の人のターゲットとなり、粘着される
  • あるのは、誰にも認められない「勝った」という戦績だけ

こうなった人は、果たして幸福と言えるでしょうか?

絶対に言えませんね。

つまり、例え「表面上の勝ち」をどれだけ多く積み重ねようとも、
チートを使った時点で事実上の「負け」になる運命なのです。

幸福とは具体的に何なのか、こればかりは僕が教える事はできません。

それでも一つだけ、断言できる事があります。

表面上の勝ち」を積み重ねた先に、幸福はありません。

何故なら、幸福とは自分の内側から作り出すものだからです。

チートを使ってどんなに勝利を積み重ねたとしても、
貴方が持つ”根本的な悩み”が解決される事はないと、断言します

どうしてもチートを使いたくなってしまったなら、その度にこの記事を読みに来て、

  • 不正行為をしてまで得た勝利に、どれほどの価値があるのか?
  • 自分が本当に欲しいモノは、何なのか?

これを今一度、じっくりと考えてみてください。

貴方が本当に求めているものは何か?

その答えは、必ず貴方の内側にあります。

ABOUT ME
格ゲーブロガー拓
1989年生まれ。2009年頃から本格的に格闘ゲームをプレイしている、格ゲー歴15年くらいの格ゲーおじ。現在はストリートファイター6を主にプレイ。 過去に注力した格闘or対戦ゲームと使用キャラクターはストリートファイター4(リュウ)、ギルティギアイグザード(ラムレザル)、大乱闘スマッシュブラザーズSP(ジョーカー、スティーブ)など。 ゲーム以外の趣味は読書・ジム通い等。
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