こんにちは、格ゲーブロガーの拓です。
今回は普段とは少し趣の異なる記事となりまして、
ブロガーの「ヒトデ」さんが執筆された著書である
「1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE」を紹介・レビューさせて頂きます。
皆さんは、(ライフスタイル用語としての)「FIRE(ファイヤー)」をご存じでしょうか?
FIREとは「Financial Independence Retire Early」の略で、
日本語に訳すると「経済的な自立と早期の退職」。
早い話が「とっとと大金持ちになって、仕事辞めて自由気ままに生きようぜ!」という目標・考え方のことです。
それだけ聞くと是が非でも叶えたい夢だと思えますし、ロマンがありますよね。
この本の内容としては、FIREに憧れる男性と不思議な力を持つネコの物語を描くファンタジーな世界観ですが
過去に若くしてFIREを達成したヒトデさんだからこそ語る事ができる、「FIREのリアル」が詰まっています。
- 仕事辞めたい…FIREして楽になりたい…
- どうすればFIREできるんだろう?FIREした人はどうなるんだろう?
- 格ゲー打ち込むために、不労所得だけで生活できるようになりてえ!!!!
そんな悩みや疑問を持つ方・或いは欲望に身を焦がす方々がこの本を読むと、
きっと得られるものがあると思います。
物語調でとても読みやすい本なので、普段読書する習慣がない方でもオススメです!
この記事には軽微ながらネタバレもありますので
気になる方は是非、このタイミングで手に取ってご自身でお読みいただきたいです。
それでは、要約開始です。
「幸せになれないFIRE」がある
皆さんは、「FIRE」についてどのようなイメージを持っているでしょうか。
一生食っていけるだけの貯蓄がある。仕事しなくていい。好きな事だけできる。
そう聞くと、間違いなくハッピーな毎日が待っていると思えてならない事でしょう。
ですが、この本のタイトルは「1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE」。
こう聞くと、なんだか意味深に思えてきませんか?
まるで「不幸なFIRE」があるかのような物言いです。
では、読み進めていく事にしましょう。
投資のみでFIREしようとする人は、投資に縛られる
例えば、本書では「投資」でFIREを達成した人のエピソードが紹介されています。
今後に期待できる企業や人に対してお金を預け、後に預けた額以上のお金を回収することです。
FIREを達成するには、投資で上手く資産を形成をする事が最もポピュラーな手法とされています。
ですが、本書では「投資”だけ”ではFIREは難しい(というかできない)」と警鐘を鳴らしています。
何故かというと、
投資によって形成された資産を完全にコントロールする事はできないからです。
その時々の社会情勢によって、投資によって築いた資産の価値は変動します。
時には「暴落」と呼ばれる現象が起きて、自分の資産価値が理不尽に減る事があるかもしれません。
そんな投資によって築いた資産が全ての状態だと、例えFIRE達成と言える資産を築いたとしても
- 仕事を辞めて本当に大丈夫なのか?
- この資金を取り崩しても本当に大丈夫なのか?
といった不安に駆られる日々から抜け出す事ができなくなってしまうのです。
自由になりたくて、FIREするために投資を始めたのに
その投資に拘束されて自由を失ってしまうなんて、なんとも皮肉ですよね。
これは決して「投資なんかしてもムダ。最初からやるべきではない」という話ではありません。
むしろFIREを達成するためには投資はするべきでしょう。
ただ、繰り返しますが投資”だけ”では足りないのです。
そもそも投資をするために種銭が必要
そもそも、投資をするのだって元手となるお金(いわゆる種銭)が必要です。
種銭の額が大きければ大きいほど、投資で成功した際の見返りも大きくなります。
従って、大量の種銭を稼ぐために大量の労働をするのがFIRE達成において一番の近道という事になります。
こう聞くと、なんだか本末転倒な気がしてきますよね。
「俺は働きたくないって言ってんの!」というツッコミが今にも聞こえてきそうです。
では、「仕事を頑張る以外の方法でFIREを達成する方法はあるのか?」と聞かれると、
あるのです。これが。
一応。
節約FIREという選択肢も、あるにはある
FIREと一口に言っても、近年は様々なFIREのカタチが編み出されています。
その一つが、ある程度の資産を形成した後に日々の生活費を極限まで切り詰める事でFIREを実現する手法です。
これを便宜上、「節約FIRE」と呼ぶこととします。
例えば、本書内では1500万円ほどの資産を有する女性が、
月5万円で生計を立てているというモデルケースが紹介されています。
決して煌びやかとは言えない、何もない暮らし。
だけど、ただただ「自由」がある。
それに本人が満足している以上、これは確かに「幸せなFIRE」を掴んでいるパターンと言えるでしょう。
でも、ほとんどの人からすると月5万円の暮らしなんて耐えられないはずです。
月5万円だと、1日3食だとして毎食500円ちょっとしか使えない計算になります。
いくらFIREと言っても、これは貴方にとって「幸せ」と言えるでしょうか?
自分の価値観を理解しておかなければ、幸せなFIREは不可能
FIREするという事は、生活水準を固定する事とほぼ同義です。
より良い生活水準を求めると、より沢山の資産を得るために働く必要性が生まれてしまいます。
ここで重要なのは自分の価値観を見つめ直し、
自分の中の優先順位・越えてはならないラインを理解することです。
優先順位が高い事を我慢し、自分の中での1線を踏み越えてFIREを掴んだところで
その先には自分を抑圧し、我慢し続ける人生しか待っていません。
特にこのブログの読者には多いであろうゲーマーの皆さんは
ゲームもネットもない生活なんか、断固として拒否するハズ。
こういった感じで、自分の中で譲れないラインは死守しなければ「幸せなFIRE」は掴めません。
FIREすればいいってもんじゃあない、というお話ですね。
一番安定するFIREの仕方は、結局「仕事」をガチる事
投資の種銭を稼ぐためにしろ、そもそもの収入を増やすためにしろ、
結局は仕事を頑張る事がFIRE達成において一番の近道です。
そう聞くと、一気に萎える人がいる事でしょう。結局仕事するしかないのか…ってね。
では、僕たちはどうしてこんなにも仕事を頑張りたくないんでしょう?
仕事を頑張りたくない理由なんて、結局のところは
失敗する事、努力が無駄になるかもしれない事を恐れているからではないでしょうか。
しかし、仕事に限らず何かしらの成果を出す人というのは
「無駄になるかもしれない」というリスクを背負ってでも頑張れる人です。
仮想通貨やFXならリスクを取れる人は珍しくありません。
何故なら、極端な話「”売る””買う”のボタンを押せば誰でもできるから」です。
これを「頑張っている」とは言わないと、著者はバッサリ切り捨てます。
新しい事で稼ぐのは大変です。
分からない事、勉強しなきゃいけない事だらけだし、次から次へと新しい壁にぶつかります。
でも、だからこそやるべきです。
若くして確実にFIREを達成するなら、無駄になるリスクを覚悟して
仕事をガチるしかありません。
副業、ならぬ「複業」をガチって成果を出した実例
ここで本書内でFIREの成功例として紹介されるのが、副業のアフィリエイトブログで大量の収益を獲得した男性の方。どう見てもヒトデさんご本人…いやなんでもないです
このモデルケースの男性は、とにかくブログに対する熱意が凄まじい。
まず朝起きて一発目にやる事が、ブログのアクセス解析と収益のチェック。
本業では一応会社に務める身とはいえ、本業の合間を縫ってブログの記事を書き上げる事ばかり考えている。
社内では最低限の業務だけこなし、定時でさっさと帰宅する。
しかし、彼にとっては帰宅してからが本番。
外注には任せられない重要な記事を執筆し、過去に執筆した記事も巡回してリライト(修正作業)をする。
外注ライターの教育にも余念がなく、記事を書くためのマニュアルも整備する。
そうこうしてたら、24時を回ったので就寝。
しようと思った矢先に、外注から緊急の連絡が入り、
結局深夜まで作業と連絡に追われ……
………
と、もうとんでもないハードワークぶりです。
この猛烈な働きぶりの甲斐あって、この男性は月収100万円越えを連続で達成し続けました。
こんな生活を実に3年も続けているというのだから驚きです。
しかしFIREしている人たちからすれば、この程度の労働量は当たり前だと言います。
だって、常識的に考えて「FIREする」という事自体がそもそも異常です。
異常な成果を達成する人が異常な働き方をしているのは、当たり前です。
楽にFIREを達成する手法なんて、この世には存在しません。
FIREとは、飛びぬけた努力を長期間続けた人たちだけが辿り着ける世界なのです。
「楽にFIREできる手法、アルヨ」と語ってる人がいたら100%詐欺です。
何故FIREしても幸せになれないのか
ここで、上の項目で紹介した
アフィリエイトブログで大成功した男性の話の続きが綴られます。
運営していたサイトを軌道に乗せて売却し、7000万円の資産を得て余裕をもってFIREを達成。
自分のペースで時間に縛られることのない生活を満喫し、気が済むまでゲームで遊んだり、時にはブロガー時代の仲間と飲み会に出向いたりする。
これを聞いて、ほとんどの人は「羨ましい」と思うことでしょう。
しかし、1年も経過した頃には雲行きが怪しくなってきます。
FIRE生活に不満がある訳じゃないけど、何か心に空虚な気持ちが湧いてくる。
既にゴールした身だから、チャレンジ中の仲間とは同じ目線で語る事がない。
趣味に没頭しようとしてみるけど、いかんせん時間の自由が利きすぎるせいで消費のスピードが凄まじい。
ゲームなんかすぐクリアしてしまうし、すぐ飽きる。
働きたくなくてブログを必死の思いで運営していたというのに、
いつしかブログ運営のために努力していた日々に思いを馳せるようになっていった…。
FIREしてからの空虚な気持ちを埋める手法は、「仕事」
これは決して、この男性が特殊な訳ではありません。
実際、FIREを達成した人のほとんどは最初こそ自由を謳歌するものの、
数年後には大なり小なりの空虚な気持ちを抱えるようになってしまいます。
これについて著者は、FIREした人たちの空虚な気持ちを埋められるのは、
- 社会との繋がり
- 目的や目標
- 日常の刺激
- 自己実現感
だと言います。
そして、これらをまとめて解決できる方法があります。
それが「仕事」です。
「仕事=我慢する事」という勘違い
ここで読者の皆さんに聞いてみたいのですが、
「仕事」についてどのようなイメージを持っているでしょうか?
一日の1/3以上の時間を拘束され、
やりたくもない業務に必死の思いで徹し、
関わりたくもないウザい同僚や上司とつるむ事を強いられ、
誰かの不手際や怠惰まで自分の責任になる…
こういった苦痛な事・理不尽な事に
「我慢」していればお金がもらえるのが、仕事。
そう思っている人がきっといることでしょう。
ですが、これは勘違いだと著者は語ります。
仕事とは、社会の誰かの役に立つ事です。
そして実際に役に立った時に、その対価・報酬としてお金を貰えるに過ぎません。
人間は「社会に貢献する事(=仕事)」に幸福を感じる
人間はお互いを助け合って生きています。
これは何故かというと、
「社会に貢献したい」「誰かの役に立ちたい」という欲求は人間の本能だからです。
本能的に誰かの役に立ちたいと思うからこそ、古来から人間はお互いを助け合い、社会を発展させてきました。
分業が進んだ現代では、良くも悪くも誰でもできる仕事が増えたから
実感はしにくくなっているかもしれないけれど
どんな仕事も必ず誰かの役に立っています。
そんな人間社会で生きていると、自分が社会に何も貢献しない事に違和感を覚えてしまうのは無理もない事なのです。
これは決してキレイゴトでもなければ、会社を運営する側のポジショントークでもありません。
「仕事」とは最も簡単に人間の本能を満たせて、しかもお金がもらえる方法なのです。
こう聞くと、なんだか仕事が凄く尊いものに思えてきますし、
世の中の色んなものの見え方が変わってくると思いませんか?
Xで悠々自適なFIRE生活を謳歌する様子を発信するのも、
Youtubeに見ていて楽しい動画を投稿するのも、ゲーム配信するのも、
ブログで有益な情報を発信するのも、
ゲームの大会に出場して観客がドキドキハラハラするような試合を魅せるのも、
それが誰かの役に立っている以上は「仕事」という事になりますし、
沢山の人の役に立てた人は、その分多くの対価を得られます。
これこそが、「仕事」の本質なのです。
FIREした後に自主的にやりたくなる仕事を、今からやる
FIREしても仕事しない事が理由で不幸になるのなら、
FIREしてからやりたい仕事をすればいいじゃない!
そう思った方もいることでしょう。
ですが、これに対して著者は「順序が逆」とし、
FIREしても結局働く事になるのなら、そもそもFIREする必要なんかない
FIREしてからやりたい仕事を探すのではなく、FIREした後にやりたくなるであろう仕事を今からやる方がいい
と語ります。
だって冷静に考えてみて、
- FIRE達成のために短期間で何千万円と稼ぐ
- 自分のやりたい仕事で、最低限の生活費を稼げるようになる
この2つで比較すると、どっちが簡単そうか?という話です。
もちろん後者も後者で大変だけど、前者よりは断然ラクだしやり甲斐がありそうですよね。
FIREしてないのであれば、猶更FIREに拘るのをやめて
仕事をやりたいこと・楽しいものに変えていく方が話が早いです。
やりたい仕事は、「自分がついやってしまうこと」に隠れている
「でも、自分にはその”やりたい仕事”がないんだよ…」と悩む人がいるかもしれませんが、
ここで、自分の過去を今一度見つめなおしてみましょう。
どんな人でも、誰に言われた訳でもないのに
時間を気にせず打ち込めてしまう事や、拘ってしまう事があるかと思います。
これは決して特別な才能ではありません。誰もが必ず、何かしら持っています。
どんな人にもすぐ話しかけて友好関係を築いてしまう人
誰に頼まれた訳でもないのにデータをすごくキレイにまとめてしまう人
いつも人前で話してしまう人
何かが完成しても改善点を探し続けてしまう人…
等、本当に色々あります。
そうした「自分がついやってしまうこと」とは何か?を知り、
それに一致した「業務内容」の仕事こそが、理想の仕事という事になるのです。
これに関しては、答えは自分の中にあります。
自分の中から湧き出てくる、滲み出てきたものを捉えましょう。
まとめ
- FIREすればいいってもんじゃない
- 投資だけでFIREした人には、投資に縛られ続ける人生が待っている
- FIREするために生活水準を下げるのは本末転倒
- FIREして仕事を辞めると、幸せになれない
- FIREしても、自由を謳歌し続ける人はほぼいない
- FIREした人のほとんどは結局新しく仕事を始めている
- 仕事とは我慢することではない。社会の誰かの役に立つことが仕事の本質
- 人間は社会に貢献することに本能的な喜びを感じる
- その本能的な欲求を満たして、しかもお金を貰えるのが「仕事」
- FIREした後に自主的にやりたくなるような仕事を、今から始めよう!
- やりたい事というより、「ついやってしまう事」に貴方の才能が潜んでいる
感想・レビュー
読了した感想ですが、とにかく読みやすかった!
全246Pの結構分厚い本だけど、物語・小説チックに話が進むし
文字の密度も高すぎず低すぎずで内容がスラスラと頭に入ってきました。
最初は無知だしマインドも弱者そのものな主人公の男性が
ネコに諭されながら徐々に成長していく様子も、王道的ながら熱いです。
強いて注意点を挙げるとするなら、
この本の物語の終盤からは、ちょっと悲しい(けど希望のある)展開と結末を迎えます。
ネコを始めとする動物が大好きな人、過去にペットロスを経験している人は
読み進めている内に心を抉られるかもしれません。
けど、僕はそれも含めてこの本の魅力だと思います。
感情を揺さぶるようなストーリーが盛り込まれているからこそ、
この本に込められたメッセージがより強く深く印象づけられる。
単なる自己啓発書に留まらない、「読み物」としての品質を追求した一冊だと思います。
という訳で、すっかり長文になってしまいましたが
これでもこの本についてまだまだ語り切れていない部分が多いです。
お勧めの本ですので、是非本書を手に取ってご自身の目で読んでみてくださいね!
読者の皆さんが「理想の仕事」と巡り合えますように。
以下、ちょっとだけ自分語りタイム!!閲覧注意だ!!
そして何より、この本にも記されている
やりたい仕事は、「ついやってしまう行動」から考える
という金言!!
これを聞いて、僕は思わずハッとしてしまったんですよ。
僕は元々ゲームの攻略系wikiの編集を趣味としてやっていて
色んなキャラの攻略とかコンボをまとめたり、格ゲー系wikiでは定番のトピックである「よくある質問」への回答を考えたりしてました。
きっと、僕にとっては「ゲーマーの悩みを解決する(ような文章を書くこと)」が
「ついやってしまう行動」だったのだと思います。
それで、気づいてしまったんですよ。
あれ???もしかしてゲームブロガーって僕にとって理想の仕事じゃね????
ってね。
これに伴い、俄然ブログへの意欲が高まりました。
まさにブログを書く事こそ自分にとって理想の仕事だと気付かせてくれたこの本と、
著者のヒトデさんに全力で感謝!
そんな訳で、今回はここまで!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更なる余談
あと、この本を読んでたら無性に「いりこ」が食べたくなって近場のスーパーで衝動買いしてしまいました。
たぶんこの本を読んだら、皆いりこが欲しくなると思います。
良かったら皆さんも食べてみてね。美味しいよ